■ハッシュ−ハッシュ リアルタイムコラム/第三回

 皆様ごきげんよう。創刊より愛され続けて売り上げ……、やせ我慢も忍耐という美徳です!
あるいはハッシュ−ハッシュ記者のルピシア・ハウ・リアリムですわ。

 お待たせしておりますが、リアルタイムコラムという性質上、いいネタが来ないと難しいモノですのね。
どうでもいいことを更新して細かく稼ぐ目論見が……、ともかく、速報性を重視する記事の特性上、不定期更新となることはご承知くださいませ。
 ですけれど、更新できる限りはスピード重視でアップいたしますわ。懐具合をあたためるためではありませんことよわ。



 第三回は新形式、インタビューでお送りいたします。
 本日のゲストは、わたくしのヤオ・マクマナス様ですわ!



「……所有された覚えはないのだけれど」



(いいからちゃっちゃとお答えくださいまし! 半畳を入ると視聴者は退屈してしまいますの!)



「ヤオ・マクマナスです」



「ここでボケて」



「魂、交換してます」



「カット! こんなで笑いを取れると思っていますの!?」



「ダメだしされた……」



「とはいえ、いい振りであることも確かですの。今回は専門家のヤオに外在魂について説明していただきたくて」



「僕が? 専門家という意味ならルーデシアの方が」



「あんな小娘のことはどうだっていいのですわ! 肝心なのはヤオと、ヤオが話すことなのです! 具体的にはヤオの映像データを求める貴婦人がたが夜に使い道を」



「今、何か」



「聞き流してくださいませさぁ外在魂について視聴者が求める感じで!」



「……外在魂というのは肉体から魂を抜き出す技術のことを意味する」



「魂を抜き出すなんて、簡単にできるものですの?」



「それがルーデシアの天才性だ。魂をデジタルデータ、あるいは化学物資の形に変換する技術を一般化し、公開した。つまり、ちょっとした施設があれば誰でも魂を抜き出すことができる」



「なるほど。けれど、魂を抜き出してどうするのです? 旧世界の小説コンテンツにあったように、不老不死でも目指すのですか?」



「不死性は外在魂の大きな特徴のひとつになる。魂を切り離した肉体は、破壊されても魂に影響はない。かつては肉体の死が魂の……、意識や経験が蓄積された何かが、魂の消滅に等しかったのだけれど」



「んん? ヤオの例だと、肉体は滅びた場合、切り離された魂はどうなりますの? 魂だけでは幽霊みたいに、死んだも同然ではありませんこと?」



「外在魂によって分離された魂を、別の身体に移し替えればいい。昔は機械の身体だと馴染むのに時間がかかったが、今は数時間で昔の身体同然に動かせるようになった」



「つまり、身体のバックアップを作ることができますのね」



「もっと積極的な使い方もある」



「んん? 腕を三本にするとか?」



「想像したくない絵だけれど……、間違ってもいない。分離した魂の移植先は人体でなくていい。どんな形をしていてもいい。走ることに特化したければ身体をチーターのようにに変え、単純な力が欲しければ、腕を数倍のサイズに取り替えれば実現できる」



「人体の限界を、乗り越えることができるようになった」



「そう。外在魂の実用面での特徴はそこにある。他にも文化的な面としては」



「ストップ!」



「えっ? どうして」





 第三回、今宵はここまでにいたしとうございますわ。
 インタビューがいくらか長くなってしまいましたので、続きは次回に。



 け、決して次回に持ち越すことで興味を引っ張ろうなんてことは考えてはいませんことよ! 勘違いなさらないでよわ!
 次回で第二回に出てきた、『どうして科学技術が極度に発達した世界で教会特区ができたのか?』の問いにお答えいたしますわ。
お待ちくださいませ。



 ところで。
 最近、ハッシュ−ハッシュ本誌よりもこちらのコラムの方が購読数が多いのが気になっておりますの。
時代は速報性を求めているのでしょうか。



 過去の記事にそのヒントが……、って!
レコーダーが回りっぱなしでわたくしの入浴の一部始終が公開されているのではありませんか!
よりによってあんなことをしている真っ最中の中継が! なし、取り消していただかないとメディアの怖ろしさを――(以下3万文字は文字数オーバーにより自動削除)